通信制高校への転入や編入を希望する場合には、調べておくべきことがいくつかあります。これまでの高校で取得した単位の引継ぎ、転入・編入可能時期、その際の面接などについては、なるべくたくさんの情報を収集して知っておく必要があります。では必要となる情報を詳しく見てみましょう。
通信制高校に入学するための年齢制限は定められていません。ただし学校によっては、入学可能な区域制限を設けている場合があるため、他の条件を満たしていても区域外に住んでいる場合には入学できないこともあります。
現在、他の高校に在籍していたり、中途退学した方であっても通信制高校へ籍を移して勉強を再開できます。なおこれまでに高校を卒業されている方は基本的には入学できません。(特定の科目だけであれば入学を受け入れている学校もあります。)
通信制学校では、全日制高校のような学力選抜試験は行われずに書類選考や面接試験で合格が決まります。また入学後も自分の学力に合わせて学習できます。
通信制高校に籍を置く方法には、入学、転入、編入の3つの方法があります。入学は一般の高校と同じように、中学校を卒業後に必要書類を提出し書類選考や面接試験を通過して4月から勉強を始めます。
では転入と編入にはどんな違いがあるでしょうか。希望する時期から通信制高校に籍を移して勉強することができる?これまで在籍していた高校で取得した単位数は通信制高校へ引き継ぐことはできる?どんな注意点がある?などの疑問を説明します。
通信制高校へ転入するとは、簡単に言うと転校になります。現在でも全日制、定時制などの高校に在籍していて、その状態を通信制高校へ移すことです。
元々在籍していた学校で取得した単位はそのまま新しい通信制高校でも引き継ぐことができます。1年次の単位を取得しているならば、2年次からスタートすることになります。また通信制高校へ転入した後の学習ペースにもよりますが、転入しても同級生と同じタイミングで高校を卒業することもできます。
通信制高校への転入を希望する理由の多くは、高校での友達関係が上手くいかないことや体調の面で毎日高校へ登校することが難しく感じていることです。今の高校ではやっていく自信がない、でも高校卒業資格は取得したいという方は通信制高校への転入を考えてみましょう。
編入とは、これまでに全日制、定時制高校に在籍していたものの、既に中途退学した生徒が通信制高校に入学することです。退学する前に高校で取得した単位は編入時に引き継ぐことができますが、これまでに取得した単位数に何年次に編入するかが決まります。
転入と違い、編入する際には簡単な試験や作文など、学力試験が必要な通信制高校もあります。中途退学してから編入するまでにどれくらいの期間を空けるかにもよりますが、編入の場合には同級生と同じタイミングで卒業することは難しくなります。
編入を希望する生徒は、授業についていけない、友達関係が上手くいかないなどの理由で以前の高校を退学しています。学習面もメンタル面も安心して高校卒業資格取得を目指したい方は諦めずに通信制高校への編入を検討してみましょう。
転入、編入が可能な時期は通信制公立高校と私立高校で少し違いがあります。
公立高校であれば基本的には毎年4月に転入、編入希望の生徒を受け入れを行います。高校によっては欠員が出た場合などに、二期制の後期が始まる9~10月ごろに募集をもう一度行うこともあります。公立高校の場合は、転入しようと考えてすぐに出来ないという制限があります。また転入したくても、転入を希望する高校が受け入れていない時期であれば、一度在籍している高校を中途退学してから編入しなければいけません。
私立高校は、高校の方針によって異なりますが転入可能時期と編入可能時期があります。転入の場合は基本的には随時受け入れています。もしくは4月、7月、10月、12月と定期的に受け入れ時期を設けている学校もあります。編入の場合は新学期が始まる4月と後期が始まる9月ごろに受け入れている学校があります。
通信制高校は全日制高校と違い転入、編入希望の生徒が多いため、年間を通して受け入れ可能時期が多く用意されています。興味のある高校の資料をしっかりと確認してどのタイミングで転入、編入するのが一番良いのかを考えておきましょう。通信制高校の公式ホームページからも受け入れ可能時期についての情報を確認できます。
通信制高校へ転入、編入した時にはそれまでに取得した単位をそのまま引き継ぐことができます。これは公立高校、私立高校に関わりなく引き継ぐことが可能です。高校を中途退学してしまい、数年が経過している場合であっても、一定の手続きを踏んでから編入手続きを行えば、以前に在籍していた際に取得した単位を引き継ぐことも可能です。編入手続きをする前に、在籍していた高校に連絡をして取得単位と成績を証明する書類を作成してもらえれば大丈夫です。入学願書を提出する際に一緒に提出すれば単位を引き継げます。
以前の高校で取得していた単位数によって、編入、転入時の学年が決まります。学校によって多少の違いがありますが、取得単位が0~5単位であれば1年次への転入となります。6~39単位であれば2年次へ、40単位以上を取得して転入する場合には3年次へ転入することになります。1年間で取得できる単位の上限は34単位と決まっています。そして高校卒業資格を取得するためには合計74単位が必要になります。つまり転入、編入時に6単位取得していなければ自動的に1年次からスタートする必要があります。
具体的な例で考えてみましょう。高校1年生の途中で通信制高校へ転入しようとする場合には、取得単位数が0のため引き継げる単位も0となります。つまり転入してもまた1年次から始まります。転入後に74単位を取得する必要がありますが、高校によっては単位を短期で取得できるようにしてくれたり、高卒認定試験の合格科目を単位として認めてくれることもあります。
高校2年生での転入の場合には、平均約30単位程度を取得しているため、その単位数を通信制高校へ引き継げます。ただし高校2年生で転入直前まで履修している科目の単位をは引き継げません。高校3年生でも同様のシステムで考えます。
全日制高校などに比べると、転入、編入可能な時期が多いというメリットがある通信制高校です。しかし、何年次の段階で転入、編入するかによって、気をつけなければいけない注意点もいくつかあります。また場合によっては進学や就職にも影響してしまう可能性があります。それぞれの年次ごとに分けて転入、編入をする前に知っておくべき注意点について見てみましょう。
高校1年生で通信制高校へ転入、編入する際に注意するべきポイントは、どのタイミングで転入するかです。
上述したように1年次の途中で転入してしまうと、引き継げる単位数は0になります。そして通信制高校で1年間に取得可能な単位数の上限は30と決められています。そのため、単位数0で転入、編入すると、どう頑張っても同級生と同じ時期に卒業することはできません。
高校1年次を終了してから転入手続きをするならば、取得した単位数は引き継ぐことが可能です。もし1年次の途中で留年することが決まった場合にも、すぐに転入してしまうと単位数0から再スタートになってしまいます。焦って転入、編入するのではなく取得できる単位は取得してしまって転入することがポイントになります。
高校2年生で通信制高校へ転入、編入する際には、高校1年生と同じように取得可能な単位は取得してしまうことがポイントとなります。ここでも現在進行形で履修している科目については単位として引き継ぐことはできないので注意しましょう。
単位を取得できるかはテストを受けて合格するかどうかにもかかっています。中間、期末などの大きなテストが間近に迫っているなら、テストを受けてから転入、編入手続きを開始する方がいいでしょう。
また2年生の途中で転入して、同級生と同じように18歳3月で卒業したい場合には、引き継ぐ単位数によって転入後のカリキュラムも異なります。
転入希望時に取得単位が7~39単位であれば2年生からスタートします。高校在学期間で取得しなければいけない単位は74単位なので、単純に考えて74単位-引き継いだ単位数=取得しなければいけない単位数になります。7単位で転入すると残り67単位を取得しなければいけません。30単位を取得してから転入すれば、44単位取得で卒業できます。つまり同じ学年に転入するとしても、引き継げる単位数によって転入後の勉強ペースが異なります。
高校3年生で通信制高校へ転入する際には、2学期以降の転入に気を付けましょう。通信制高校によっては、転入後は6か月以上在籍することが卒業条件となっていることもあります。この条件から考えると、高校3年生の11月や12月に転入してしまうと、卒業の時期がずれてしまい同級生と同じ時期に卒業できなくなってしまいます。在籍期間については全く定められていない高校もあるので、転入前には注意して確認しましょう。
高校3年生であれば、通常50~60単位程度は既に取得しています。つまり卒業までには残り10~20単位となります。転入する時期や高校によっては、短期間で集中的に単位を取得できるように調整してもらえるパターンもあります。こうしたサポート体制が整っている高校であれば、ある程度引継ぎ単位数でハンデがあったとしても必要単位を取得して同級生と同じ時期に卒業が可能です。卒業まであと数か月という段階での転入も受け入れてもらい、数週間で単位取得も可能になります。
一方で残り取得単位数は僅かであっても、授業カリキュラムなどで柔軟性がなかったりするケースでは転入する時期によっては卒業が難しくなる可能性もあります。転入、編入する前には、まず自分が取得している単位数を確かめましょう。それから転入、編入を希望する通信制高校と相談して卒業までに残りの単位が取得可能かを確かめましょう。
いずれにしても高校3年生での転入は慎重に考えましょう。
通信制高校で学ぶ生徒の約60%程度は中学校を卒業後に入学してくる生徒たちです。残りの約40%程度は中学校卒業後に全日制やその他の高等学校へ進学したものの、何らかの理由で通信制高校へ転入もしくは編入した生徒です。
転入、編入をする理由として最も多いのは、「高校生活に熱意がない」「学校生活が合わない」というものです。簡単に言えば不登校になってしまった生徒です。
不登校になる理由としては友達関係や先生との関係が上手に築けないことがあげられます。また中学校で不登校になってしまった生徒であれば高校に進学したものの、学習ペースについていくことができずに不登校になるケースもあります。通信制高校であれば、全日制高校とは違い毎日スクーリングする必要もありません。また自分のペースで学習をして、わからない部分は先生から個人的に指導してもらえるメリットもあります。
また通信制高校へ転入、編入した生徒の中には別の分野に興味を持ったり進路変更を希望して通信制高校での勉強を始める生徒もいます。専門分野を学べる通信制高校も増えてきているため、自分の夢を実現するためにあえて通信制高校を選ぶ生徒も増加傾向にあります。
通信制高校への転入、編入は受け入れ可能時期に合わせて手続きをする必要があります。
転入や編入のタイミングについては引き継げる単位数との関係もあるので、上述した各学年時での転入の注意点をご確認ください。
通信制高校へ転入、編入するためには、必要となる書類を揃えなくてはいけません。基本的に必要となるのは、「学籍・就学状況証明書」「成績証明書」と「単位取得証明書」です。学校によってはその他にも必要となる書類があるため、学校のホームページや資料請求などをして確認しましょう。
「成績証明書」「単位取得証明書」は以前に在籍していた高校で用意してもらいます。申請するためには、担任の先生に相談する、もしくは事務室にお願いしましょう。早ければ申請したその日にすぐ必要書類を受け取ることができます。遅くなっても1週間程度で手元に届きます。あとは受け入れ時期に合わせて書類を提出して手続きをすすめましょう。
転入、編入で気になるのは学費や諸経費です。基本的には4月に入学した時と同額の入学金、施設設備費、教材費などが必要になります。つまり学年末が近づいた段階で転入、編入をすると費用的には損をすることになります。
通信制高校であれば、授業料は取得する単位に応じて支払うことになります。学校によっては割引制度を設けている高校もあります。学年の後期から転入、編入する場合には入学金や施設設備費、教材費などが半額になります。少しでも費用を節約したい場合にはこうした制度を利用しましょう。
学費や諸経費は転入、編入が決定してから2週間以内に納入する必要があります。数十万、数百万になることもあるので、分割納入なども活用できます。
通信制高校への転入、編入で学力試験を設けている学校はほとんどありません。基本的には書類選考と面接試験になります。
書類選考のために願書を提出する必要があります。住所、名前、志望動機、以前の高校を中退した理由などです。この内容によって試験に落ちることは基本的にありません。
面接試験では生徒の状況や今後の方向性を見られます。面接時間は約10分程度です。先生1人に対して生徒が5人前後のグループ面接や先生2人に対して生徒1人という個人面接など、面接方法は学校により様々です。
面接で良く聞かれる質問にどのように答えるかを良く考えておきましょう。「通信制高校の中からこの高校を選んだ理由は?」「この学校でどんなことを勉強したいか?」「いままで通学していた高校の様子は?」などの質問が多いようです。
質問に答える際にはできるだけ、先生の顔を見ながらハキハキと話すように心がけましょう。大切なのは話す内容だけではありません。面接中の態度も見ています。入退室の時にしっかりとお辞儀をすること、携帯電話の電源は切っておくことなどです。学校側からの指定がなければ、前に在籍していた高校の制服を着ていくといいでしょう。
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