中学の特別支援学級から特別支援学校高等部へ入学し、卒業しても、残念ながら高卒資格は取れません。ここでは、高卒資格を取るための選択肢を解説していきます。
発達障がいへのサポート体制が充実!
先に技能連携校や通信制高校を見る
特別支援学校は、障がいや病気を抱えた生徒が、自立を図るための知識や技能を習得するための学校です。国語、数学、英語、体育、音楽など、通常の高校で受ける教科のほか、生徒一人一人の能力を伸ばし、障がいがあっても自立して生きていくための教育なども行っています。発達障がいのある生徒が特別支援学校に入学した場合、学習内容が自分のレベルに合わず、不登校になってしまう生徒も多くいるようです。
注意したいのは「特別支援学校を卒業しても、高校卒業の資格を得ることはできない」という点です。特別支援学校高等部を卒業した場合、「特別支援学校高等部卒業」という資格が得られ、12年間の学校教育を修了したという証明こなるため、この資格があれば大学受験をすることができます。
しかし、これは高卒資格とは別のものなのです。授業に自立活動という領域を設けていたり、各教科を学ぶ時間総数に高校との差があったりするため、高卒資格とはなりません。その理由を詳しく解説するためには、まず特別支援学校高等部がどういった立ち位置にあるのかを理解する必要があります。
第1章「総則」第1条
「この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする」
第8章「特別支援教育」第72条
「特別支援学校は、視覚障がい者、聴覚障がい者、知的障がい者、肢体不自由者又は病弱者(身体虚弱者を含む。以下同じ。)に対して、幼稚園、小学校、中学校又は高等学校に準ずる教育を施すとともに、障がいによる学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授けることを目的とする」
参照元:文部科学省「学校教育法」(http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/others/detail/1317990.htm)
特別支援学校高等部も当然学校として定められており、そこを卒業することで「特別支援学校高等部卒業」の学歴が認められます。しかし、「特別支援学校」の記述には、「幼稚園、小学校、中学校又は高等学校に準ずる教育」とあり、「同等の教育」とは書いていません。
つまり、特別支援学校を卒業した生徒は中卒資格しか持ち合わせていないことになってしまいます。そのため、「特別支援学校高等部卒業」の学歴は高校卒業と同等のものであるとはみなされず、高卒の学歴を得ることはできないのです。
ですが、高卒の学歴はもらえなくても、大学受験資格を得ることは可能です!文部科学省の定める大学入学資格は、以下の2つのうちいずれかを満たすものとなっています。
参照元:文部科学省「大学入学資格について」(http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shikaku/07111314.htm)
つまり、特別支援学校高等部を卒業しても高卒資格は得られませんが、大学の受験資格を得ることは可能なのです。
もしお子さんが中学校や特別支援学級を卒業後、「高卒資格の取得」を視野に入れているなら、通信制高校を検討するのも一つの選択肢です。
通信制高校の大きなメリットは、自分のペースで学習を進められる点です。通信制高校では周囲の生徒のペースを気にせずに集中できる環境があります。通信制高校にもスクーリングと呼ばれる登校日やレポートの提出が必要ですが、それ以外の時間は自分のライフスタイルに合わせることが可能です。自宅や好きな環境で、対人関係などのストレスなく学習を進められます。
一方で、通信制高校での学習の基本は「自学自習」であるため、自分で決めてやり遂げる力が重要です。これが不足すると卒業に時間がかかったり、卒業を諦めてしまうことも。最近は通信制高校が増えてきており、スマートフォンやタブレット端末を使った学習環境やサポートが用意されているケースが多く、また、通信制高校に通う生徒を支援するための機関として、サポート校や技能連携校のような存在も広まりつつあります。そのため、不安な場合はこうした支援体制が整っている学校を選ぶのがおすすめです。
サポート校は、通信制高校に通う生徒を支援するための学びの場です。通信制高校を3年で卒業するための支援が目的で、学習支援の授業や学習計画の相談、精神的なケアが提供されます。卒業まで手厚い支援を受けられるのが特徴です。通信制高校と同時に入学する場合が多いですが、別途学費がかかります。また単体の卒業では高卒資格は得られず、通学しても高校の卒業単位には基本的にカウントされないため注意が必要です。通学日数は週1~5回で、サポート校によって異なります。
技能連携校とは、主に通信制高校と連携しながら、実技や専門的な授業を提供する教育機関です。生徒は通信制高校に在籍しつつ、日々この技能連携校に通って学びを深めていきます。学習の柱となるのは通信制高校のカリキュラムですが、技能連携校では調理・美容・介護・デザイン・ITなど、将来に役立つスキルを実践的に学べるのが特長です。
また、多くの学校で少人数制・個別対応が導入されており、生徒一人ひとりの特性やペースに合わせた指導が可能です。形式上は「高等学校」ではありませんが、技能連携校を通じて必要な単位を取得し、3年間で高卒資格を得ることができます。こちらも別途学費がかかります。
技能連携校は、発達障がいや知的障がいのあるお子さんにとって相性の良い学びの場です。最大の特長は、一人ひとりの特性や学習スタイルに合わせた柔軟な指導が行えること。集団授業が苦手でも、少人数や個別対応で安心して学ぶことができます。
また、カリキュラムには実技中心の授業が多く、「じっと座っているのがつらい」「座学よりも手を動かすほうが得意」というタイプのお子さんにも向いています。こうした環境では「わかる」「できた」という成功体験を積みやすく、自己肯定感を取り戻すきっかけにもなります。不登校の経験がある場合や、対人関係に不安を抱えるお子さんにとっても、安心して通える居場所としての役割を果たしてくれるのが技能連携校なのです。
【技能連携校】
興学社高等学院
WISC-Ⅳ検査でお子さんの特性を把握し、得意を伸ばせる教育を行う
興学社高等学院は、発達障がい・知的障がいも子どもの個性の一つとして捉えており、入学の際に療育手帳の有無は問わないため、発達障がい・知的障がいをお持ちのお子さんでも全日制高校のような生活を送ることができます。希望者に対しては、「WISC-Ⅳ検査」と呼ばれる発達のバランスを知れる検査を実施し、生徒の個性に合わせたサポートを行うため、お子さんに無理をさせることなく、楽しい学校生活を送ることができる環境といえるでしょう。
コミュニケーションに関する苦手を克服できる
興学社高等学院は、SST(ソーシャルスキル・トレーニング)と呼ばれる、社会に出た時に役立つ、コミュニケーションスキルを学ぶ授業を取り入れているため、対人コミュニケーションが苦手なお子さんも安心できる環境です。一つの方針を強制する教育ではなく、生徒一人ひとりの多様性を認めてくれる学校といえるでしょう。
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総合進学科は、国語や数学、英語といった高校生の必修科目のほか、ハンドベルやフォトのように、特色のある授業を選べる学科です。授業の種類は160種類以上(2023年4月調査時点)あり、興味がある分野を見つけるきっかけにもなるでしょう。中にはオフィスソフトなど、就職した際に、すぐに役立つスキルが身に付く授業も用意されています。
リベラルアーツ科では、お子さんが持つ特有の感覚を社会で活用できるように、コントロールしていく力を身につけます。応用行動分析(ABA)を通して、人間の行動のきっかけを考え、自分が望む結果を得るためには、どう行動することが望ましいのか導けるよう、トレーニングを実施します。
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興学社高等学院に入学してから、私は勉強に力が入りました。また、将来に向けての考え方をしっかりと考えることもできました。 私は、性差別に人一倍敏感なジェンダーレスです。自分自身がスカートをはくこともあります。多様性を認めてくれるこの学校に入学できたことをとても嬉しく思っています。
興学社高等学院は穏やかでとても楽しいところです。 前の学校では「みんなに合わせなきゃ」とか思っていたけど、この学校は良い意味でマイペースでいられる場所です。 「学校=辛い場所」という考えを覆す学校だと私は思います!
興学社高等学院に通えて本当に良かったと親子で思っております。先生方は、とても親身に接してくれ、身体の不調もあり毎日登校はできませんでしたが、遅刻(午後から)登校でも明るく元気に迎えてくれた先生方に感謝しております。
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キャンパスの所在地 | 埼玉県越谷市南越谷1-15-1 6F (新越谷校) 千葉県松戸市新松戸4-35 (新松戸校) |
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アクセス | 新越谷駅・南越谷駅から徒歩5分 (新越谷校) 新松戸駅・幸谷駅から徒歩2分 (新松戸校) |
電話番号 | 047-309-8181 |
発達障がいや知的障がいのあるお子さんにとって、「どの通信制高校を選ぶか」は非常に重要なポイントです。学校によって指導方針やサポート体制が大きく異なるため、以下のような視点で選ぶと失敗が少なくなります。
発達障がいのお子さんが安心して学べる環境が整っているかどうかは、学校選びの大きな基準となります。具体的には以下のような点を確認しましょう。
こうした体制がある学校であれば、お子さんが不安を感じたときにも安心して相談でき、学びを継続しやすくなります。
通信制高校には、月1回だけ登校すればよい学校から、週5日通学型の学校までさまざまなスタイルがあります。「通学が難しい」「人が多いと疲れてしまう」といったお子さんには、スクーリングが少なめの学校がおすすめです。一方で、生活リズムを整えたいお子さんや、対面での支援が必要な場合は、通学日数が多めの学校やサポート校・技能連携校を選ぶとよいでしょう。
また、オンラインで授業を受けられるかどうかも大切なポイントです。動画授業やZoomによる面談、学習管理アプリの活用など、ICTの導入が進んでいる学校は、学びの継続がしやすくなります。
卒業後の進路について、どの程度サポートが受けられるかも学校選びにおいては見逃せないポイントです。就労支援や福祉施設との連携、進学に向けた支援制度が整っているかを事前に確認しましょう。
なかには、卒業後も「アフターサポート」として、就職活動や生活相談に応じてくれる学校もあります。保護者にとっても大きな安心材料となります。
通信制高校や技能連携校を卒業すると、高卒資格を得ることができ、進路の選択肢が大きく広がります。発達障がいや知的障がいのあるお子さんの場合、進路の選択にはいくつかのパターンがあります。
高卒資格を持っていることで、一般企業の就職にもチャレンジすることができます。特例子会社や障がい者雇用枠を活用することで、自分のペースで働ける職場を見つけることも可能です。
また、技能連携校で習得した専門スキル(例:調理・介護・ITなど)は、就職時の大きな武器になります。働く前に職場体験ができる制度を導入している学校も多く、「実際の現場を見て決める」ことができるのも安心です。
「もっと専門的な知識やスキルを学びたい」という希望があれば、専門学校への進学も一つの道です。デザイン・美容・福祉・ビジネスなど、分野ごとの専門学校では、実践的な内容を中心に学ぶことができます。
発達障がいのある学生へのサポート体制が整っている専門学校も増えてきており、個別相談や学習支援が用意されているケースもあります。進学後の就職にも直結するため、将来を見据えた進路選択が可能です。
大学受験に挑戦する道もあります。発達障がいや知的障がいを持つお子さんの中にも、「自分のペースで学びながら、将来は専門職に就きたい」といった目標を持つ方が増えてきました。
最近では、障がいのある学生を対象にした入試制度(特別選抜入試)を設けている大学もあり、入学後も合理的配慮や支援制度が受けられるケースが増えています。通信制高校での学び方やペース配分に慣れていれば、大学生活にもスムーズに適応できる可能性があります。
目的や特徴から選ぶ!
おすすめの通信制高校
・技能連携校
通信制高校は、学校によって力を入れている分野や強みが異なります。
ここでは、学校に求めるサポート体制や通信制高校に入学する目的別でおすすめの通信制高校を紹介しているので、
自分自身やお子さんの個性、希望の進路に合った通信制高校を選びましょう。