社会人になってから高校卒業と同等の資格を取るには、通信制高校や定時制高校、高卒認定(旧 大検)があります。その中でも自宅で学習しながら定期的に学校へ通う通信制高校は働きながら通えて、高校卒業の資格を取得できるため人気です。
通信制高校なら仕事をする時間を確保しつつ、高校の先生から勉強の指導を受けて高卒資格を取得することができます。
まずは、通信制高校の基礎知識について見ていきましょう。
平成28年度の総務省の統計データによると、全国の通信制高校に通う人は15万人以上にもなります。18歳から60歳以上まで通っている方の人数の割合は以下です。
20代前半の割合が多く、その次が18歳となっています。60歳以上の人も601名と多く通われているようです。仕事をするうえで、高校卒業の資格を持っていると有利になります。人によっては高校に通えなかったというコンプレックスの解消にもなるでしょう。 (参考元:総務省統計局より)
通信制高校が創立されたのは1948年。経済的な理由や事情により一般の高校に通えない人のために、文部科学省によって制定されました。1955年に4年以上の修業期間が設けられ、全日制・定時制と同じように高校卒業資格を得られるようになったのです。
1961年に学校教育法の一部が改正されたことにより、通信制高校が学校として認められました。1988年になると通信制高校の修業年限も、全日制・定時制と同じ3年以上に改正。
「通っても高卒の資格が取れない」「卒業するのに4年かかる」といった問題を解決することで、より社社会人が通いやすい制度になりました。
家庭の事情や学校に通っていたけどいじめに遭ってしまった人など、さまざまな理由から高校に通えず、社会人になってから通信制高校に通いたいと考える人は多くいます。通信制高校は自分のペースで無理なく学ぶことができ、何歳になっても卒業資格が得られるため幅広い年齢層の方が通っています。
自分で単位計算をしながらレポート提出・管理するのは大変ですが、登校日以外には学校へ通う必要がないので通学に時間を取られません。中には3泊4日といったスクーリングを受けるだけで良いところもあり、休日を上手に活用して授業を受ける方もいます。
仕事をしていて通学が難しい人、若い学生と一緒に授業を受けることに不安がある人、子育て中の人などに向いている方法です。
通信制高校と似ているものに定時制高校がありますが、定時制高校は時間帯や曜日が決められているので、日中は働いている人にとって通いやすい通い方。しかし、通常の高校が3年で卒業できるのに対して4年で卒業する人が多いほど短期間で高校卒業の認定を受けたい人には向いているとは言えません。
働きながら高校卒業の認定を受けるなら自分のペースで学べる通信制高校がおすすめです。
社会人が通信制高校に通うメリットとは一体どのようなものがあるのでしょうか。ここでは通信制高校に通うメリットを3つ紹介。全日制の高校とは異なり働く人が通いやすい仕組みになっています。自分に合った高校を選ぶためにも、きちんと把握しておきましょう。
通信制高校は、全日制の高校と比べてスケジュールが調整しやすく、空いている時間に学習できるのが特徴です。
通信制高校に通う学生は、社会人を含め高校を中退した人や高齢者などさまざま。幅広い年齢層に加え、仕事やアルバイト、家事をしながら学ぶ人が約半数を占めています。
そんな社会人でも通いやすいのが通信制高校の魅力。各通信制高校のスクーリング(登校日)の頻度にもよりますが、通信制スクールの勉強スケジュールは基本的に自宅学習がメインです。
そのため、「普段は仕事や家事をこなし、帰宅してから自宅学習」「今日は1日きちんと勉強して明日はアルバイトに集中する」など、スケジュールを自分自身で調整が可能。普段の生活に合わせて学習することができます。
ただし自分で学習スケジュールが組めるメリットがある反面、気をつけないと生活リズムが乱れてしまうことも。独自で無理のないスケジュールを組みながら、仕事や勉強の両立ができるよう心がけることが大切です。
通信制高校は全日制高校に比べて、学費が安いことが特徴です。公立の通信制高校だと3年間通ったとしても、おおよそ10万円前後が相場。アルバイトをしながら自分で学費を支払うことができる価格帯です。
通信制高校と連携して卒業までを支援してくれるサポート校がありますが、こちらは別途で料金が発生するもの。ここにサポート校の学費をいれると、一般の私立高校よりも年間の学費が高くなる場合もあります。学校にもよりますが、70~100万円ほどかかると考えておいた方がいいでしょう。
もちろん、サポート校に入らずに通信制高校だけに入学して卒業を目指すのも、サポート校を利用するのも自由です。ただ、サポート校だけに入って通信制高校には通わなかった場合、高校卒業資格が得られない点に注意。
サポート校はあくまでも併用して学ぶところ。お金をかけて卒業までを細かく指導してもらうのがいいのか、自分で学習を続けてサポート校に通わずに卒業したいのか。目標を明確にしたうえで、自分にサポート校が必要であるかを判断しましょう。
また、私立の通信制高校はサポートが手厚い分、学費が高くなる傾向にあります。気になる高校が高めだがサポート体制が整っているのか、それとも学費は安いがサポート校に入った方が卒業しやすいのかを比べて選びましょう。
通信制高校には、さまざまな経験をしたことのある生徒がたくさんいます。いじめや家庭の事情によって全日制高校へ行けなかった人、昔高校を卒業できなかったけど社会人になって卒業資格を取りたい人など。
生徒一人ひとりが通いやすい環境を作るために、学校内にはカウンセラーがいたり、レポートの提出はインターネットでも可能になっていたりします。また、「人間関係で嫌な体験をした」「人とあまり関わりたくない」といった人もいるでしょう。
全日制高校は人と関わる機会が全日制高校に比べると圧倒的に少なく、基本的に週に1~3日ほどしかありません。また、通信制高校にもレクリエーションや部活動といった人と触れ合う機会もありますが、必ず参加しなければならないわけではないので、「参加したくない」という人は不参加でも◎。
行事の参加は自由なので無理に仕事を休まなくても良いので自分のプライベートを優先できます。もちろん、参加すれば学校行事を通して人と関わりを持つことによって、コミュニケーションの仕方や人と関わることの楽しさや嬉しさを学ぶ機会にもなります。
社会人になってから通信制高校へ通う人も数多くいます。ここでは、社会人におすすめの通信制高校の選び方を紹介しています。
通信制高校を選ぶときのポイントや社会人が通いやすいコース、それぞれの学校の特徴も記載しているので、まだどこに通うおうか決まっていないという方はぜひ参考にしてください。
社会人が通信制高校を選ぶ際のポイントとなるのが「通学頻度」です。通信型の通信制高校の場合でも、1年間で数日間は学校に通学しなければいけません。もし、入学した通信制高校の通学日数が多かった場合、それがストレスとなって学校へ通うモチベーションが低下することも。
反対に、通学日数が少ないことで勉強への疑問を解決できずモチベーションが失われることもあります。通信制高校を選ぶ際は自分の性格やライフスタイルと通学日数が合っているのか、きちんと調べるようにしましょう。
モチベーションが低下するとストレスが溜まってしまい、最悪の場合、途中で学校を辞めてしまうことにもなりかねません。通信制高校を選ぶ際は、自分に適した通学日数なのかを踏まえて選ぶようにしましょう。
通信高校の学費の多くは私立か公立かで大きく変化します。公立の学費は3年間で10万程度で抑えられるのに対して、私立は3年間で40~100万円程度。
学びたい内容によって選択は人それぞれですが、社会人になると生活費や食事代、会社の人との付き合い等でお金が必然的に必要となってくるので、なるべく学費も抑えておきたいところです。そのため、少しでも学費を抑えたいと考えている人は公立の通信高校を選択すると良いでしょう。
しかし高いお金を出している分、私立の通信高校の方が手厚いサポートをしてくれるところが多いようなので、充実したサポートを受けながら通学したいという方は私立高校の通信制クラスを考えてみるのも良いかもしれません。
また、選択する通信高校によっては年収に応じた支援金の助成が受けられるところもあるので、入学する前に資料請求や公式サイトをチェックするなど下調べをすると良いでしょう。
単に通信高校といっても、通常科目を勉強する進学コースはもちろん、美容や健康、整体の勉強をする専門科目を学ぶ専門科目コースなど様々なコースがあります。そのため、卒業後のプランもしっかりと考えたうえで、コースを比較して自分に合った通い方を選ぶのが重要なポイントになってくるでしょう。
なかには通信高校と聞くと「本当に資格取得ができるの?」「卒業できるか心配」と不安に感じる人もたくさんいると思います。しかし、通信高校に入学する人の中には、自分の夢を確実に叶えるために入学するという目標を持った人も多く、資格取得や進学率は上昇傾向にあるのが特徴です。
不安を感じる前に、自分の目標を再確認してどういった通信高校があるのかをチェックしておくといいでしょう。
通信制高校の社会人コースとは、仕事を持っている人が勉強に取り組みやすく時間配分された通信制コースのこと。通常の通信制コースとは別に夜21時までキャンパスを開いていたり、土曜日に登校ができたりと社会人が通いやすくなっています。
多くの学校ではインターネットを活用した授業が行われている昨今。学習計画の進捗報告などをメールでやり取りしたり、進路相談といった重要事項にはSkypeを用いたりしています。授業そのものをストリーミング配信している学校もあり、その視聴記録で生徒の学習状況を確認することも。
このようにインターネットを活用すれば、スクーリング回数が少なくて済むというメリットがあります。ほとんどの学校が年に1回、多くても2回ほど通うだけでよくなっていて、仕事に差し障るようなことがほとんどありません。仕事が忙しく、勉強は週末に集中して行いたいと考える方にとても好評のようです。
社会人コースは自宅学習が基本になっているため、学費をかなり抑えることができます。美容やダンスなどの専門コースに入らなければ、年間の学費を10万円~20万円代に済ませられる学校も。社会人コースは、社会人をしながら高校卒業することが十分に可能なのです。
ここでは社会人コースを設置している通信制高校をご紹介しています。紹介する通信制学校は「ルネサンス高等学校」「鹿島学園WEBスクール」「日本ウェルネス高等学校」「勇志国際高校」「ヒューマンキャンパス高校」「NHK学園高等学校」「中央高等学院」の7校!
学校の特徴や基本情報などをまとめているので、ぜひ参考にしてください。
普段の学習をすべてネットで完結させるのがルネサンス高等学校の特徴です。タブレットやスマートフォン、パソコンを使用して学ぶので、課題を郵送する必要はありません。
授業の映像は、NHK高校講座やスタディサプリという信頼度の高い教材を使用。映像はいつでも見ることができるので、何度も繰り返し学習できます。
ルネサンス高等学校は全国に300以上の推薦枠を持っているので、卒業後は大学・短大・専門学校への進学も目指せるでしょう。
所在地 | 茨城県久慈郡大子町大字町付1543 |
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アクセス | JR水郡線「下野宮」駅より車で8分 |
10年以上の歴史があり、これまで2万人以上の卒業生を送り出している実績(2023年6月19日調査時点)のある通信制高校です。株式会社設立の通信制高校が多い中、鹿島学園の通信制学校は、学校法人が運営。学校法人なので、学費も相場より安く済みます。
また鹿島学園WEBスクールは、一人ひとりに担任がつく「個別担任サポート制」を採用。授業も自分のペースや希望に合わせてすすめることができ、何でも話しやすいというメリットがあります。
さらに、卒業後のサポートも整っており、卒業した後「やりたいことがあるけど不安」「何に向いているかわからない」などの相談もあります。
所在地 | 茨城県鹿嶋市田野辺141-9 |
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アクセス | JR「鹿島神宮駅」より車で11分 |
スポーツに打ち込みたいと考える方をサポートする高等学校です。スポーツコースでは、学習システムのサポートがしっかりしているのが特徴で、短い期間で目標を設定し、何度も復習を繰り返すため学力に自信がない方でも安心して学べます。
その他のコースでは、「週5日通学コース」「週2日通学コース」「在宅コース」などがあり、自分に合ったスタイルで高校卒業取得を目指すことが可能です。
所在地 | 東京都板橋区成増1-12-19 |
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アクセス | 地下鉄有楽町線「成増駅」より徒歩で5分 |
日本全国から入学可能な広域通信制の私立高校。ネットを利用した授業展開を行っているので、日本だけでなく海外からも受講可能です。
学費は学校生活を充実したものにしてほしいという願いから、公立高校よりも低い価格で設定されています。
勇志国際高校ではスクーリングが集中型と通学型の2種類に分かれており、好きな方を選択可能です。集中型は年に1度、3泊4日の天草の自然と海に囲まれた場所で行われ、通学型は年に8~10回天草本校や近くの学習センターで授業を受けられます。
20歳以上を対象とした社会人コースは、高校卒業という機会を一度手放してしまった方に向けて、もう一度高校卒業を一緒に目指すためのコースです。
ネット環境が整っていれば自宅からレポート提出ができたり、勇志国際高校オリジナルの録画授業を好きな時に見れるので、自分のペースで無理なく勉強可能。また、中学の基礎学力に自信がない方でも、中学復習教材が用意されているので、基礎からしっかりと学ぶことができます。
所在地 | 熊本県天草市御所浦町牧島1065-3 |
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アクセス | 熊本→三角駅、大道駅、棚底駅、八代→御所浦駅 |
ヒューマンキャンパス高等学校の最大の魅力は豊富な専門分野の種類。20種類以上の専門分野から自身の磨きたいスキルを学び、70種類以上の職種を目指すことができます。また、大阪バイオメディカル専門学校や総合学園ヒューマンアカデミーなどの教育機関との連携により、自分のやりたいことを追求できる環境が整っています。
学習センターは北海道から沖縄まで全国各地にあるので、自宅から通いやすい学習センターを選択可能です。
自主学習か週1日以上の通学とスクーリングへの参加などにより、高校卒業資格が取得可能となるヒューマンキャンパス高校。生活スタイルによって自主学習や週にどのくらい通学するのかの割合を決めることができます。また単位制の高校なので、これまでに取得した単位があれば引継いで卒業を目指すことが可能です。
少人数を導入しているので生徒と先生の距離が近く、学校生活や勉強への不安に対するフォロー体制も整っているため、卒業まで安心して通えます。
所在地 | 東京都新宿区高田馬場4-4-2 教育センタービル |
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アクセス | JR高田馬場駅より徒歩1分 |
1963年に開校したNHK学園高等学校。全国40ヵ所の地域にスクーリング会場と外部教育機関を構え、幅広いニーズに応える通信制高校です。
特徴は、NHKが配信する、「NHK高校講座」を視聴することによって、登校日数が一般の通信制高校に比べ約半分になるということ。もちろん、放送は録画でもOK。ホームページでも配信されているので、ネットで視聴することも可能です。
さらに、特別講座では数多くの著名人が講師として登場するなど、サポート体制も充実しています。
NHK学園高等学校では、社会人の方でも働きながら高卒資格を取得できるよう、様々なコースが設けられています。
上記3つのコースはいずれも、月の登校が1~2日で済むので仕事との両立もしやすく、自分のライフスタイルに合わせて無理なく学習することができます。
所在地 | 東京都国立市富士見台2-36-2 |
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アクセス | JR南武線 谷保駅から徒歩8分 |
中央高等学院では主婦や社会人など社会人の生活ペースに合わせた学習プランを用意しており、空いた時間を使って勉強を行う「通信高校コースサポート」と、最短4カ月で高卒認定資格が取得できる「高卒認定試験コース」を用意しています。
高卒認定資格の取得に留まらず、その次のビジョンについても、大学進学や社会人として働く上で必要な教養を培うためのコースもサポートしており、生徒一人ひとりに合わせた学び方を提案しています。
所在地 | 東京都武蔵野市吉祥寺本町2-21-8 |
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アクセス | JR線・京王線「吉祥寺駅」南改札(公園口)から徒歩5分 |
目的や特徴から選ぶ!
おすすめの通信制高校
・技能連携校
通信制高校は、学校によって力を入れている分野や強みが異なります。
ここでは、学校に求めるサポート体制や通信制高校に入学する目的別でおすすめの通信制高校を紹介しているので、
自分自身やお子さんの個性、希望の進路に合った通信制高校を選びましょう。