IQ(知能指数)が50~69の領域内であると診断されている、軽度の知的障がいを抱えるお子さんの高校進学選びに悩む方は多いかと思います。お子さんの将来を見据えた場合、どのような高校やその他の選択肢が適切であるのか、検討に検討を重ねている事でしょう。
ここでは、軽度の知的障がいを持つお子さんの進学先になり得る候補や選ぶポイントなどを紹介していきます。
特別支援学校は、身体や知的障がいを抱えるお子さんが通える学校のことで、中学卒業後は高等部へ入学することができます。高等部では高等学校に準ずる教育とともに、生活上の困難の克服や将来的に企業へ就職できるようなスキルを学ぶこと目的にしています。
特別支援学校へ通学するメリットは、一般的な高等学校で受けられないような細かいサポートが受けられることです。学習は少人数制の学級編制を設けており、高等部では8人前後が標準です。複数の障がいを抱えているお子さんには、さらに少ない人数で編成して適切な指導や支援ができるようになっています。
学習以外では、日常生活や社会性が身に付くような訓練を行ったり、将来働くことに関心が持てるような実習なども行います。
特別支援学校には専門的知識を持つスタッフが多く在籍しているので、在学中の相談や卒業後の進路についても相談しやすいこともメリットです。
特別支援学校の高等部を卒業しても、学歴は「高卒」とはならずに「特別支援学校高等部卒」となります。
その点をデメリットに感じる保護者もいるかもしれませんが、もし大学や専門学校などに進学希望しているのであれば、「特別支援学校高等部卒」であっても入学資格を有しています。それは、学校教育法施行規則のなかに「特別支援学校の高等部又は高等専門学校の3年次を修了した者(法第90条第1項)」という項目があるからです。(ただし、特別支援学校高等部卒業生の受験を認めるか否かは各大学の規則に委ねられている)
また、卒業後に就労移行支援事業所へ通わず、直接企業の「障害者雇用」などを利用する場合も「特別支援学校高等部卒」を高卒と同様の扱いをしてくれる企業も増えてきています。
※参照元URL:厚生労働省(https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shikaku/07111314.htm)
通信制高校は多様化されており、発達障がいや軽度の知的障がいを持っていたり、学習が遅れ気味の生徒への学び直しなどに理解がある高校もあります。
また、通信制高校は毎日通学する必要がないため、集団生活が苦手であるというお子さんも、ストレスなく自分のペースで学習を進めることができます。さらに、精神的支援をしてくれるスクールカウンセラーや、特別支援教育のコーディネーターが在籍していたり、就労支援施設と連携している学校もあるため、一般的な全日制の高校よりも支援体制は整っています。
ただし、通信制高校はひとつひとつの科目単位を取得して卒業を目指すスタイルです。そのためには、レポート提出やテストにクリアしなければならないため、保護者だけでなくお子さん本人のやる気が重要となります。
通信制高校の卒業要件は以下の3つとなります。
通信制高校では、学校教育法により「3年間以上の在籍」が卒業の必須条件となっています。多くの学校が単位制を導入しており、1年間で修得できる単位数には制限があります。そのため、仮に1・2年次で多くの単位を取得しても、3年間の在籍がなければ卒業できません。編入・転入の場合でも、前籍校の在籍期間が合算されることがあります。
卒業には、必修科目を含めた74単位以上の修得が必要です。単位取得の基本的な流れは「自主学習 → レポート提出 → スクーリング → テスト」です。まず教材で自宅学習を行い、指定のレポートを作成して提出。添削後に復習し、登校日(スクーリング)に先生から直接指導を受け、最後に試験を受けて合格すれば単位が認定されます。
通信制高校では、「特別活動」と呼ばれる学校行事や体験学習に30単位時間以上参加することも卒業要件のひとつです。具体的には、ホームルーム、文化祭、校外学習、職業体験、清掃活動などが該当します。これらはスクーリングとあわせて実施されることが多く、学校ごとに内容や頻度が異なるため、入学前に確認しておくと安心です。
技能連携校は、知的障がいのあるお子さんにとって相性の良い学びの場です。最大の特長は、一人ひとりの特性や学習スタイルに合わせた柔軟な指導が行えること。集団授業が苦手でも、少人数や個別対応で安心して学ぶことができます。
カリキュラムには実技中心の授業が多く、「じっと座っているのがつらい」「座学よりも手を動かすほうが得意」というタイプのお子さんにも向いています。こうした環境では「わかる」「できた」という成功体験を積みやすく、自己肯定感を取り戻すきっかけにもなります。不登校の経験がある場合や、対人関係に不安を抱えるお子さんにとっても、安心して通える居場所としての役割を果たしてくれるのが技能連携校なのです。
【技能連携校】
興学社高等学院

WISC-Ⅳ検査でお子さんの特性を把握し、得意を伸ばせる教育を行う
興学社高等学院は、知的障がいも子どもの個性の一つとして捉えており、入学の際に療育手帳の有無は問わないため、知的障がいをお持ちのお子さんでも全日制高校のような生活を送ることができます。希望者に対しては、「WISC-Ⅳ検査」と呼ばれる発達のバランスを知れる検査を実施し、生徒の個性に合わせたサポートを行うため、お子さんに無理をさせることなく、楽しい学校生活を送ることができる環境といえるでしょう。
コミュニケーションに関する苦手を克服できる
興学社高等学院は、SST(ソーシャルスキル・トレーニング)と呼ばれる、社会に出た時に役立つ、コミュニケーションスキルを学ぶ授業を取り入れているため、対人コミュニケーションが苦手なお子さんも安心できる環境です。一つの方針を強制する教育ではなく、生徒一人ひとりの多様性を認めてくれる学校といえるでしょう。
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総合進学科は、国語や数学、英語といった高校生の必修科目のほか、ハンドベルやフォトのように、特色のある授業を選べる学科です。授業の種類は160種類以上(2023年4月調査時点)あり、興味がある分野を見つけるきっかけにもなるでしょう。中にはオフィスソフトなど、就職した際に、すぐに役立つスキルが身に付く授業も用意されています。
リベラルアーツ科では、お子さんが持つ特有の感覚を社会で活用できるように、コントロールしていく力を身につけます。応用行動分析(ABA)を通して、人間の行動のきっかけを考え、自分が望む結果を得るためには、どう行動することが望ましいのか導けるよう、トレーニングを実施します。
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興学社高等学院に入学してから、私は勉強に力が入りました。また、将来に向けての考え方をしっかりと考えることもできました。 私は、性差別に人一倍敏感なジェンダーレスです。自分自身がスカートをはくこともあります。多様性を認めてくれるこの学校に入学できたことをとても嬉しく思っています。
興学社高等学院は穏やかでとても楽しいところです。 前の学校では「みんなに合わせなきゃ」とか思っていたけど、この学校は良い意味でマイペースでいられる場所です。 「学校=辛い場所」という考えを覆す学校だと私は思います!
興学社高等学院に通えて本当に良かったと親子で思っております。先生方は、とても親身に接してくれ、身体の不調もあり毎日登校はできませんでしたが、遅刻(午後から)登校でも明るく元気に迎えてくれた先生方に感謝しております。
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| キャンパスの所在地 | 【新越谷校】埼玉県越谷市南越谷1-15-1 6F 【新松戸校】千葉県松戸市新松戸4-35 |
|---|---|
| アクセス | 【新越谷校】新越谷駅・南越谷駅から徒歩5分 【新松戸校】新松戸駅・幸谷駅から徒歩2分 |
| 電話番号 | 047-309-8181 |
中学卒業後は就職を目指して職業訓練校や高等専修学校へ通うという方法もあります。
文部科学省が管轄である「高等専修学校」は、中学卒業者を対象にしており、一般的な高校と同様の中等教育機関として位置づけられています。就職を目標にした職業教育が中心で、医療や工業関連、農業、社会福祉、商業実務、服飾などの分野を学ぶことができます。
「職業訓練校」は、厚生労働省が管轄となっており、一般事務や医療、保育、介護系、Web関連、ものづくり関係などさまざまなスキルを学ぶことができます。
職業訓練校や高等専修学校は、就職に役立つスキルを学べるメリットがありますが、いずれもしっかりと学ばないと資格や職を得ることは困難です。継続して専門的な技術や知識を学ぶ意思があるのか、お子さん本人と話し合って決めてください。
お子さんの知的障がいの特性によっては、普通高校への進学が可能な方もいらっしゃるでしょう。近年は、少子化問題で定員割れの高校が増えている状況もあり、内申点と入学試験に合格すれば進学することができるからです。
ただし、小学校や中学校のように障がいに応じた支援を用意している普通高校はほぼなく、お子さんが適切な支援を受けられるかは難しいと言わざる負えません。
お子さんが楽しく通学できるようであれば問題ありませんが、コミュニケーションがうまくできなくて仲間外れにされたり、勉強についていけなくなったりすることで、鬱や自信喪失、不安障害などの二次的障害を引き起こす可能性もあります。普通高校へ進学を希望している場合は、入学後の環境面も視野に入れ、楽しく学べる環境が整っているか、事前にリサーチしてください。
お子さんにとって安心して学べる環境を見つけるためには、ただ評判の良い学校を選ぶだけでは不十分です。特に支援が必要なお子さんの場合は、その子に合った学びのスタイルや支援体制が整っているかどうかが、学校生活を左右する大きなポイントになります。
ここでは、学校選びをスムーズに進めるために押さえておきたい4つのステップをご紹介します。ひとつひとつの過程を丁寧に進めていくことで、本人にとって最適な進路が見えてくるはずです。
学校選びの第一歩は、お子さん自身の特性や意思をしっかりと理解することから始まります。得意なことや苦手なこと、どのような環境で安心して学べるか、どんなサポートが必要かを丁寧に見つめ直しましょう。
お子さんが「どんな学校に行きたいか」「どんなことを学びたいか」といった思いに耳を傾けることも大切です。本人の意欲や気持ちが尊重された選択は、学校生活への前向きな姿勢につながります。家庭内での様子や、これまでの学校での経験も参考にしながら、お子さんに合った進路を考えていきましょう。
まずは気になる学校の公式サイトやパンフレットをチェックし、支援体制やカリキュラムの特徴を把握しましょう。特別支援の有無、学習サポートの充実度、授業の進め方などを確認することが大切です。さらに、学費や通学のしやすさといった実生活に関わる要素も見逃せません。
加えて、口コミサイトやSNS、在校生・卒業生の体験談なども参考になります。可能であれば保護者の意見にも耳を傾け、さまざまな視点から情報を集めることで、より現実的な学校の姿が見えてきます。
学校見学や体験入学に参加して、リアルな雰囲気を感じることはとても重要です。オープンキャンパスや個別相談会を活用して、教師や在校生と直接話してみましょう。支援内容の詳細や先生の対応を知る絶好の機会です。
また、学習環境や校内の設備が本人にとって安心して過ごせる空間かどうかも確認しましょう。特に支援が必要なお子さんの場合は、クラスの雰囲気やサポートスタッフの様子など、実際に見て相性を確かめることが重要です。体験授業に参加できる機会があれば、授業の進め方や学びやすさを体感しておくと安心です。
学校選びで迷ったときは、教育相談センターや発達支援機関など、専門家の力を借りるのも一つの方法です。軽度知的障がいの特性を理解したうえで、どのような教育環境が合っているかを専門的な視点から提案してくれます。
特別支援教育に詳しいカウンセラーや学校関係者に意見を聞くことで、本人に合った選択肢を見つけるヒントが得られるでしょう。さらに、福祉サービスや利用可能な支援制度についてもアドバイスを受けられる場合があり、進路の幅が広がります。
まずは普段から通っている「かかりつけの小児科医」に相談してみましょう。小児科医は発達や知能に関する知識が豊富で、適切なアドバイスをくれるだけでなく、地域の支援機関を紹介してくれることもあります。
また、自治体が運営する「児童相談所」でも、18歳未満の子どもに関する相談を受け付けています。児童福祉司や児童心理司など、専門知識を持ったスタッフが対応してくれるため、まずはお住まいの自治体に問い合わせてみましょう。
児童発達支援センターでは、障がいのあるお子さんの特性に合わせて、日常生活や社会生活に必要な力を身につけるサポートを行っています。利用するには、自治体の障がい福祉窓口を通して申し込む必要があります。ここでは、将来の自立に向けて必要な知識や技能、基本的な生活動作などを専門的に身につけることができます。お子さんの成長をサポートする大切な選択肢のひとつです。
IQが50~69の範囲である軽度の知的障がいの場合、学習やコミュニケーションスキルに遅れはあるものの、適切な支援次第でスキルを伸ばすことも可能です。そのため、お子さんの特性を理解し、本人の希望も考慮して早めに情報を集めることが大切です。
高校の資料集めや学校訪問には時間を費やしますし、特別支援学校高等部は、教育委員会の相談窓口で障がいや発達について相談や知能検査などを経るため、1年前から準備しないと間に合いません。
中学2年次がスタートしたあたりから、学校関係者や担当医師、地域の福祉支援スタッフなどへも相談しながら高校選びをスタートしましょう。
目的や特徴から選ぶ!
おすすめの通信制高校
・技能連携校
通信制高校は、学校によって力を入れている分野や強みが異なります。
ここでは、学校に求めるサポート体制や通信制高校に入学する目的別でおすすめの通信制高校を紹介しているので、
自分自身やお子さんの個性、希望の進路に合った通信制高校を選びましょう。